『明代の中国の地図』
明代の林子平の『三国通覧図説』付図『琉球三省并三十六島之』(釣魚諸島位置図、釣魚諸島略図)などの書物の記述を研究していた井上清京都大学名誉教授によると琉球と中国本土とは明確に色分けされており尖閣列島は台湾や中国福建省と同じ薄桃色の同色で描かれているので当時中国は尖閣列島を明確に自国領であると認識していたという。
ただ、これを根拠とする中国の主張である『明代から領有している』との説ですが、それを言い出すとウラジオストックなどロシアの極東地域の沿海州全域が丸々中国領という判断も出来そうですよ。
これでは地球は一つでは足りずに何個も必要になる。
尖閣諸島ですが、ここ近年の100年間に限れば間違いなく日本が実効支配しているし敗戦後はともかく、沖縄返還後にも平和裏に実効支配している事実は大きいでしょう。
『グーグルの中国語の記述問題』
「尖閣」の中国語表記、グーグルに削除要請…外務省
外務省は14日、インターネット検索大手「グーグル」の地図サービス「グーグルマップ」に尖閣諸島の中国語表記が併記されていることについて、同社日本法人に対し、「尖閣諸島は我が国固有の領土で、領土問題は存在しないとの立場だ」として中国語表記の削除を求めた。
グーグル側は「要請は承った」と回答したという
(2010年10月15日 読売新聞)
日本の自民党と外務省が14日、米インターネット検索大手グーグルの日本法人に対し、グーグルマップ上の尖閣諸島から中国名の表記削除を求めた件に対し、グーグルは拒否する意向を示したと、環球時報が伝えた。
『グーグルは日本政府の圧力を明確に拒絶した』と報じたほか、日本政府がグーグルに対してどのような『懲罰措置』をとるのか、日本の政治レベルが試されると報じた。
グーグル、尖閣の中国名の削除要請を拒否!?「日本がまたも敗北か」―韓国
韓国のメディアも、この話題を取り上げ、日本政府がグーグルへ尖閣諸島の中国名表記を削除するよう要求したが拒否され、『日本は再び外交的敗北を喫した』と報じている。
『検索大手グーグルの中国撤退事件』の時は中国当局プロパガンダの低劣さを笑った日本人も多かったが、今回のように尖閣諸島の中国名表記(尖閣諸島・魚釣島と共に釣魚群島・釣魚島の併記)を取り消せとグーグルに圧力をかけるようでは日本は中国を批判出来ないでしょう。
今回何故かGoogle マップだけが問題とされたが、衛星写真により3D映像のグーグルアースではより踏み込んた記述がなされいるのですよ。
このグーグルアースですが、以前には『日本固有の領土で紛争地で無い』との日本政府の発表とは大きく食い違う『日中の係争地である』との明確な表記がされていましたよ。(ところが何故かグーグルアースの記述は問題にされていない)
このグーグルアースの漢字表記は中国大陸の簡略型ではなくて難しい旧字体なので台湾人が関係しているのかも知れません。(現在は日本、中国、台湾の表記が入り乱れて記載)
尖閣諸島ですが、日本本土よりも中国大陸に近いが、中国大陸よりも遥かに台湾からの距離が短いのですよ。
ですからこの問題はマスコミは日中間の問題であると思っているのですが、多分台湾の方がもっと真剣に考えているのかも知れません。
『不思議な騒動』
それにしてもこの尖閣諸島の領土問題ですが、何となくインチキ臭いのですよ。
これ本当に日本国にとって大問題なのでしょうか。?
日本側が、わざと日中の間に騒動を起こしているふうに見えるのですよ。
この問題ではすでに70年代に日中で『日本側の実効支配を認める』ことを前提としてグレーゾーンとして『棚上げする』との解決が成されています。
この『尖閣諸島は棚上げする』事実は、02年の小泉政権下でより鮮明になり『何人も尖閣列島には入らせない』との閣議決定がなされていて、其れ以来日本人の上陸を海上保安庁の巡視船は厳重に取り締まっているのですよ。
極最近も菅内閣が自民党議員からの質問趣意書に対して、この『何人も立ち入らせない』との方針を確認、継承しているとの『答弁書』が出されています。
ですから自民党政権下でも民主党政変後でも『実効支配するが日中国交回復時の合意事項(棚上げ)を守る』の態度であったのです。
これ等の決定には勿論戦後レジームからの脱却(美しい国)の安倍晋三も内閣の一員として参加しているので知っているのですが、教育基本法を改正してまで『愛国心』を国民に強要するのですから、当然気に入らない。
国民の愛国心を煽る一番簡単な方法は領土紛争であるのは古今東西全てに共通する事柄(政治原則)であり、2年前に尖閣列島での最初の海保による拿捕が実行されたが、海保の巡視船の不手際から相手の台湾遊漁船が沈没して大騒動になって日本側が謝罪、賠償している。
今回の騒動も民主党内のネオコン勢力の『愛国心』鼓舞作戦が関連している可能性も有るが、しかしどうも経過を見ていると怪しいのですよ。
騒動にはなったが収拾がお粗末すぎて余り愛国心の高揚には役立っていないばかりか、かえって日本の威信を傷つけている風にも見える。
『稚拙?なプロパガンダ』
中国の天安門事件の人権活動家にノーベル平和賞が選ばれたニュースを中国国内では露骨にその場面だけを真っ黒にして放映していないのですが、
中国は政治プロパガンダ技術がまだまだで報道統制としてはやり方が稚拙で洗練されていませんね。
これでは日本の敗戦までの水準と五十歩百歩ですよ。
日本は敗戦までは軍の検閲が厳しくて不都合な言葉はその部分だけ伏字になっていたのですが、これではパズルと同じで前後の言葉から類推して正確な元の言葉を復元出来る。
そこで記事を丸ごと掲載禁止にしたのですが、不自然に紙面に空白の穴が開くので『何が書いてあったか』は判らなくても不都合な『何かが隠されている』事は誰にでも明白に判るのです。
時代は進み、情報統制も旧軍とは大きく違い、日本を支配したアメリカ軍はもっと悪賢くて紙面の空白を絶対に認めないで別の記事に差し替えることを厳命したので、敗戦後には検閲があること自体が機密になり判らなくなったのです。
今の時代はもっと進み情報統制の手口は進化していて、大量の情報の海で不都合な『機密』を隠蔽して仕舞うのです。
知られたく無い耐震偽装のニュースは、市民の好むライブドアのホリエモン騒動のような新しい別のニュースを提供することで誤魔化すのです。
欧米や日本では、このような大量のマスコミの情報操作による世論誘導が主になっているのです。
知られたくない不都合な真実は、隠そうと工作すればするほど中国や昔の日本のように失敗してしまう。目立たないようにする心算が、正反対に隠すほど余計に目立つのですよ。
今度の騒動ですが、これでは戦前の水準であり余りにも手法が稚拙です。
ですから、この尖閣列島の騒動の影で蠢いている何かもっと大きな『何か知られたくない事実』が隠されている可能性があるでしょう。
現在進行形でアメリカの圧力で国辱的な売国行為をしているのだが、『中国が悪い』との洪水のような報道による世論誘導でみんなに真実が見えなくする巧妙な手口ですね。
『外交に密約はつきものなのだが 』(意識的無人島化)
沖縄返還時のニクソン大統領と佐藤栄作首相の署名捺印、それもイニシャルではなくてフルネームの入った最高級のレベルの核持込密約もありますが、
それ以外にも文章に残らない種類の双方の首脳どうしとか、政府の了承による関係者同士の暗黙の了解事項など、外交の世界では阿吽の呼吸の密約が当然存在しています。
北朝鮮の拉致問題にもこの問題はあるのですが、日朝外交当局の了解事項を無視する日本政府の『掟破り』のお蔭で紛糾したのが真相なのですが、外交上の約束を破れば北朝鮮と抜き差しならない危険な大騒動になり解決不能になるのは何も外交官でなくても誰にでも判る。
北朝鮮との解決不能の大騒動を緩和する目的で、このときに北朝鮮の最大の後ろ盾とも思える中国の機嫌を取る為に行われた懐柔策(贈り物)が何とも不思議な理解不能の『日本人の尖閣入りの阻止』の閣議決定なのかも知れない。
02年の小泉訪朝以来のマスコミを総動員した『北朝鮮』バッシングの超強硬外交方針と対になっているのが同じ02年の『何人も尖閣列島には立ち入らせない』との超弱腰の外交方針なのでしょう。
日本政府が日本の領土に日本人が立ち入ることを原則禁止したのですよ。
基本的に『ありえない売国的な恥ずべき決定』であるのです。
これでは日本政府が実効支配しているが、『尖閣列島は領土紛争地で、100%の権利は日本側に無い』と日本政府が自ら宣言したに等しい相手国に対する土下座に近い卑屈すぎる軟弱な愚行なのですよ。
ところが同時に表向きには『尖閣列島の紛争地で無い』『そもそも領土問題は存在しない』と、正反対の発表をしているのです。
『相手を貶める手法で自己を正当化する手法』
もっと不思議なのは、この頃から尖閣以外の日本の抱えるそれ以外の紛争地の竹島や北方領土を韓国やロシアが『不法占拠している』とする外交交渉では在り得ない超過激すぎる不穏当な表現方法も取るようになるのですよ。
今の日本の外交とは、インターネット空間の過激な言葉使いのネットウヨと同程度の判断力であるのでしょうか。?
現在の外交とは圧倒的な力の差を見せ付ける150年前のペリー提督の砲艦外交でも無いし、そのアナクロ劣化コピーのブッシュジュニアの強制民主化の対テロ戦争でもない。
小さな子供の喧嘩ではないのですよ。
(言ってよいことと悪いことがあるのです)相手を無駄に怒らして如何する心算なのでしょうか。?
普通の外交政策とはこの逆で、出来る限り相手の面子を立てて、それと引き換えに此方の実益を追求するのが『外交交渉』の基本中の基本ですよ。
ところが日本はこの正反対であるのです。
もしもですよ、
中国政府が正式に『日本が不法占拠している尖閣列島』などと発表すれば日本の世論がどうなるか。
説明するまでも無い話で、幾ら大人しいことで有名な日本人でもこの無礼極まる『もの言い』には誰でも怒ります。
日中関係は決定的に悪化して解決とは逆方向で、『話』が揉めるだけで良いこことは双方とも何も無い。
だから中国やその他の日本以外の普通の国は、相手国が戦争状態や敵対関係ならいざ知らず、仮想空間のネットウヨの主張と勘違いするような、自分の自尊心だけを満足させる以外に何の得も無いそんな過激な言葉遣いは絶対にしないのですよ。
もちろん小泉政権以前の日本政府は、その様な外交常識に外れたことはしていない。
そう考えて日本を鑑みれば『不法占拠云々』は何の得にもならないのに自己満足で相手の面子を潰して『わざと相手を怒らす』何とも不思議な外交政策であるのです。
それとは対照的に尖閣での騒動を起こさせない為の『何人も立ち入らせない』穏便すぎる方針に何か外交的な意味が有るか疑問で、これも矢張り日本には全く一つも『得』が無いのですよ。
これでは日本は『無策』などと呼べる水準ではなくて、外国から見れば宇宙人と同じで『不可解』としか言えないのです。
ですから日本国の方針には我々国民が知らない何か別の隠された目的があるのかもしれません。
それともそれは買いかぶりで信じられないくらいに『無能』であるだけかも知れませんが、何ともやりきれない話ですね。